
鷲尾 龍一
ワシオ リユウイチ
文学部 日本語日本文学科
人文科学研究科 日本語日本文学専攻
教授
コメント
言語学を専門としています。一口に言語学と言っても、具体的な研究内容は人によって大きく異なりますが、私の場合、様々な言語を比較することによって言語の普遍性と個別性について考えるというのが基本的な研究スタイルになっています。これまで、日本語、モンゴル語、朝鮮語、英語、フランス語、オランダ語などを対象に比較研究を手掛けてきましたが、言語の系統や変化なども重要な関心事ですので、研究対象は中世のモンゴル語や朝鮮語、上代の日本語などにも及びます。 このようなタイプの言語学とは別に、私はこれまで言語研究の歴史も研究してきました。一般に「言語学史」と呼ばれる分野ですが、日本には伝統的に「国語学史」と呼ばれる分野もあり、私自身は国語学史と言語学史を融合する視点から、日本における言語研究の近現代史を再構成してきた。比較的最近では、日本と韓国それぞれにおける国語研究を比較し、その影響関係を実証的に明らかにする「比較国語学史」という研究プロジェクトに取り組んできました。かなりマニアックな世界ですが、すでに「兪吉濬『大韓文典』と近代日本文典 ~日韓比較国語学史への貢献~」(Bulletin of the Edward Sapir Society of Japan 30.)や「比較国語学史の背景 ~兪吉濬・崔鉉培・鄭烈模と近代日本文法~」(ENERGEIA 41.)といった論文を発表していますので、興味のある方には見ていただければと思います。韓国の近代国語学史を方向づけた有名な著作のいくつかが、実は日本の大槻文彦、山田孝雄、松下大三郎などの影響をまともに受けていた、という事実が疑問の余地なく明らかにされています。