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その貿易政策は有効か。隠れた問題点を探り出す

石川 城太 教授 2023.07.01 国際社会科学部国際社会科学科

その貿易政策は有効か。
隠れた問題点を探り出す

石川 城太 教授 prof. ISHIKAWA Jota


国際社会科学部国際社会科学科
専門:国際経済学

石川 城太 教授

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先生が研究されている内容を教えてください

政策の効果を「正しく」見極める

 専門は国際経済学で、主に貿易政策の理論的分析を行っています。グローバル化により国家間の経済的な依存関係が深まる中で、各国はどのような政策を採るべきか。ある政策が採用されると、自国あるいは外国の生産者や消費者にどのような影響を及ぼすのか。これらを注意深く分析し、実際の制度設計に活かすことを目指しています。現在の研究テーマのひとつが、昨今注目を集める「多国籍企業の租税回避行為」。GAFAなどの多国籍企業による合法的な課税逃れに歯止めをかけるべく、世界的なルールづくりが進んでいます。しかし、良案のようでも、予期せぬ副作用を引き起こす可能性があるのが政策というもの。新たな政策や制度に潜む問題点をあぶり出すため、分析に取り組んでいる最中です。

近年力を入れている研究テーマは何ですか

脱炭素化に向けた経済の枠組みを

 国際課税問題に加えて、世界共通の目標であるカーボンニュートラルに関する経済政策の研究にも注力しています。カーボンニュートラルの実現に欠かせないのが、生産時の二酸化炭素排出量等に応じて課税する「炭素税」や、その結果として生じる国家間の政策相違の是正を目的とする「炭素国境調整措置」※。こうした制度が世界の国々や企業に与える影響を分析し、「脱炭素」と「経済」を両立させる道筋を探っています。また一方では、先進国が生産拠点を途上国にシフトさせて、炭素排出の責任を押し付けているという指摘もあります。そこで登場したのが、「生産者と消費者で責任を共有する」という考え方。この新たなアイデアを踏まえて、排出量の測定基準や削減目標をどのように設定すべきかについても研究を行っています。

※炭素国境調整措置: 欧州委員会が提案した気候変動政策「Fit for 55」の施策のひとつ。気候変動対策が不十分な国からの輸入品に対し、生産過程で排出された炭素の量に応じて、自国と同等の排出負担を課す措置。

研究の面白さや醍醐味を教えてください

最新のイシューに鋭く切り込む

 国際課税や脱炭素といった国際経済社会でホットなイシューを研究し、政策提言を行うことに醍醐味を感じます。すべての政策には「直接効果」と「間接効果」がありますが、後者はなかなか見えにくいもの。それらを粘り強く探り、世の中に提示するのが我々経済学者の役割だと考えています。いかに時代に即したテーマで、鋭い問題提起ができるか。独創的なアイデアを練るのは簡単ではありませんが、そこが一番重要なポイントでもあります。

石川 城太 教授

"転機"となった出来事はありますか

カナダへの留学、NYでの出会い

 最大のターニングポイントは、カナダの大学院博士課程への留学です。大学時代、実は勉強はあまりせず、バレーボールと麻雀に熱中。しかし、経済学者だった父の影響もあり大学院へ進みました。研究者の道を志して渡ったカナダでの大学院生活は想像を絶するほどハードで、初めて必死に経済学の勉強や研究に取り組みました。その日々は、今でも研究者としての土台となっています。もうひとつ思い出深いのは、駆け出しの頃、ニューヨーク大学で開催された国際会議で研究発表を行った際に、ノーベル経済学賞受賞者のポール・サミュエルソン教授が討論者としてコメントしてくれたこと。経済学の神様のような存在の人が若輩者の研究論文を読んでくれる―その事実が自分の励みになり、今でも一生の思い出になっています。

石川教授の知の展望

理論と実証の両輪でより緻密な分析を

 私の専門は理論分析ですが、今後は実証分析を手掛ける研究者との共同研究を増やしたいと考えています。理論分析の結果を実際のデータに基づいて検証することで、より興味深い示唆が得られると思います。扱うイシューでは、国際課税や脱炭素関連については、引き続き分析・検証が必要です。ほかにも、国境を越えたデータの移動や電子商取引が急増している現状を踏まえ、デジタルエコノミーの進展が国際経済に及ぼす影響も明らかにしたいと思っています。

PROFESSOR'S LIFE STORY

幼少期~高校 子どもの頃から地図帳を見るのが大好きで、世界の地理や統計に興味があった。経済地理の分野を勉強するため、一橋大学経済学部への進学を決意。
大学 広い視点で地理的要素を捉えることができる国際経済学のゼミへ。体育会バレーボール部の主将として活動に打ち込む。
大学院 一橋大学大学院の修士課程へ。研究者を目指し、民間奨学団体から支援を得て、カナダの大学院の博士課程へ進学。
国の機関でも活躍 大学で教鞭を執る傍ら、海外での研究発表や在外研究も多数。日本経済学会常任理事、日本国際経済学会会長も務めた。