花開くデータサイエンスの時代にフォーカス -学習院大学のAI・DX教育-
申吉浩教授、甘利丈慈、髙井絢之介
2023.09.05
魅力あるプログラム 大学院 在学生 教職員
人工知能(AI)技術の急速な進歩は、データの分析力を駆使し、ビジネスや社会に変革をもたらす人材=データサイエンティストに対する社会の需要を創出している。文理を問わないA I・D X 教育を展開し、学生一人ひとりが描くキャリアパスに応えるため、学生たちと完全オリジナル教材を開発。
教材開発をともにした学生たちに生の声を聞いた。
科目名:基礎の機械学習
この講義では、文章を学習してその著者を当てる簡易な「人工知能」の作成を例題として、機械学習の基本的な概念や機械学習を用いたデータ分析の手続きについて学びます。ハンズオン(体験学習)教材を利用することで、プログラミングの知識がなくてもプログラムを動かすことができ、体感的に理解を深めることが可能です。
自分の手で得た学びを後輩たちにつなげたい。
甘利 丈慈
自然科学研究科物理学専攻
博士前期課程 2年
東京都・本所高等学校出身
年々強まっていたAI技術について学びたいという私の思い。その思いを申先生に伝えたところ、機械学習の理論や実装方法について継続的なセミナーを実施してくださいました。そこで得た知識を活かして取り組んだのが「機械学習入門書」制作です。制作にあたって心掛けたのは、できる限り平易な表現を使用すること。数式に慣れていない人でも理解できるように、プログラミングの実践事例を盛り込み、視覚的な分かりやすさを追究しました。また、学ぶ人の幅広いニーズを想定し、基本から応用までバランスのとれた内容づくりも意識。機械学習の広く深い学びを支えます。私自身、数学やプログラミングの知識がない状態から、自らの手を動かすことで学びを深めました。皆さんにも試行錯誤を重ねながら新しい分野に果敢に踏み出してほしいと思います。
理想のキャリアを築く鍵となるデータサイエンスの学び。
申 吉浩 教授
計算機センター
「AI」と聞くと深い専門知識が必要と感じる人も多いと思います。しかし、AIを開発するのではなく、使う立場として求められる知識は意外と少ないのです。土台となる知識さえあれば、日進月歩の最先端技術に追随することも難しくない。そのことに学生自身が気づけるよう、新カリキュラムにおいても、基本的な原理の理解に重点を置いています。基礎固めに使用するのはオリジナル教材「機械学習入門書」。また、文系・理系の学生が共に学ぶことも考慮しPython※1の活用やGoogle Colaboratory※2等の開発・教育環境の利用により、シミュレーションを多く取り入れた授業を展開します。データサイエンスに対する俯瞰的な理解は、一人ひとりのキャリアパスの幅を広げてくれるでしょう。この学びを今後の社会で有効に活かしてくれることを願っています。
※1 プログラミング言語の一種
※2 機械学習の教育及び研究用に提供されているサービス
学習院大学オリジナル教材
座学とハンズオン(体験学習)との組み合わせにより各科目のより深い理解を可能にします。
POINT1
ビジュアル・シミュレーションの活用による感覚的な数式理解の促進
POINT2
パイロット授業からのフィードバックを積み上げ、理論と実践のバランスを重視して練り上げた教材
共に開発した教材は
書籍として出版されている。