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物理学科のゼミ 「物理学輪講」

井伊優貴

2020.04.01

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STUDENT'S VOICE

高校生の頃から関心のあった研究室で
未来の通信を研究中

井伊優貴

理学部物理学科4年 埼玉県・私立武蔵越生高等学校 出身

高校生のとき、次世代の暗号技術である「量子暗号」のニュースを見たことでその研究を行いたいと思うようになり、そのときから量子光学を専門とする平野琢也先生の「平野研究室」に興味を抱いていました。本学物理学科に進学し、4年生になった現在は先生の研究室に所属し、暗号技術である"量子鍵配送"の実験を行っています。通常、"量子鍵配送"は通信を行う二者間の距離が離れれば離れるほど通信が難しくなるため、この通信距離を延ばすための新しい手法を確立することを目指し、平野先生の指導のもと日々研究に取り組んでいます。定期的なミーティングで疑問を解消できたり、実験機材が豊富に揃っていたりと、研究に専念しやすい環境であることも本研究室の魅力です。

ゼミの様子


ABOUT SEMINAR

物理学の研究対象は
無限に広がっている

最先端研究を自分の言葉で
物理学科の物理学輪講

物理は自由で、その研究対象は無限に広がっています。そして、物理学の最前線では、今も驚くような様々な研究が進展しつつあります。その進展しつつある物理を学ぶことができる場、それが物理学輪講です。

物理学輪講は、本学科4年生の必修科目で、各研究室の4年生全員が自身の卒業研究に関連する文献を読み、その内容を学生と教員全員の前で発表します。3年生までに現代物理学を一通り学び、その上に立って最先端の研究を理解することは実は容易なことではありません。さらに、物理学輪講では、それを自分の言葉で説明することを目指します。これは本当に大変なことで、よりよい発表を行うには多くの準備が必要です。発表当日に学生が味わう緊張感は並大抵のものではありませんが、社会に出てから物理学輪講が最も思い出深く、その経験が会社でのプレゼンテーションなどに役立っていると語る卒業生も少なくありません。

物理で情報を研究して生まれた
量子暗号という新技術

物理の研究対象として近年注目されているものに情報があります。本学科でも、情報熱力学や量子情報技術などの研究が行われており、今年度の物理学輪講でも、これらの分野の論文がいくつか紹介されました。情報熱力学は、情報と熱力学の関係を扱う分野で、例えば、状態を知っているということを利用して、エネルギーを使わずに物体を動かせるのだろうかということを研究します。

量子情報技術は、物理の基本法則である量子力学の原理を利用した情報処理や通信、計測の技術です。現在、世界中で「量子コンピュータ」の開発が進められているというニュースを聞いたことがある人もいるかもしれません。平野研究室では、物理法則を使って安全な通信を実現する量子暗号、測定の感度を高める量子計測の研究を、いずれも国家プロジェクトの一環として行っています。物理学輪講で最先端の研究を学び、次は、世界で初めての実験を卒業研究で実現することを目指しています。

平野琢也 教授

東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。日本学術振興会特別研究員、東京大学教養学部助手を経て、2005年より現職。日本学術振興会より表彰。専門:量子光学。

平野琢也 教授

※学年、肩書は取材当時のものです。